基礎知識
海外キャッシングの使い方!手数料・ATMの利用手順・両替との比較も解説
公開日:2024年7月31日
海外キャッシングとは、クレジットカードを使って、滞在先で現地通貨をキャッシングする(お金を借りる)サービスのことです。世界の国や地域の観光地などにATMがあるため、大金を持ち歩かずに、現地通貨を都度引き出す形でキャッシングサービスを利用できます。
ただし、海外キャッシングを利用するには、海外キャッシング枠の事前申し込みが必要です。必要なときにスムーズに利用するためにも、申込方法や利用方法、注意点をあらかじめ把握しておきましょう。
この記事でわかること
- 海外キャッシングのメリット
- 海外キャッシングの設定方法、利用方法、注意点
- 海外キャッシングと両替の手数料の比較シミュレーション
目次
海外キャッシングとは?
海外キャッシングとは、クレジットカードを使って、滞在先で現地通貨をキャッシングする(お金を借りる)サービスのことです。
海外では、現金でしか支払えないお店があったり、チップを現金で渡す必要があったりと、現金が必要なシーンも多いです。
海外渡航の際に海外キャッシングと並んでよく利用される両替との違いは、次の通りです。
海外キャッシングを利用すれば、現金を持ち合わせていなくてもいざというときに現地通貨を引き出せるため、現金に困らなくて済みます。
現金が必要なシーンに備えて、所有しているクレジットカードに海外キャッシングができる機能をあらかじめつけておくとよいでしょう。
海外キャッシングのメリット
「お金を借りる」ことに抵抗がある人もいるかもしれませんが、海外キャッシングにはさまざまなメリットがあります。
海外へ行く予定がある人は、必要に応じて活用することも検討するとよいでしょう。
両替より手数料が少ないことがある
海外でお金を調達する方法には、キャッシングと両替の2種類があります。どちらも手数料がかかりますが、キャッシングのほうが、両替よりも手数料が少なく済む可能性があります。
世界の国や地域の主な観光地にATMがある
海外の国や地域でキャッシングを利用できるATMは、主要な空港や観光地、コンビニなどに設置されています。旅行中に急に現金が必要になった場合でも、お金を調達しやすいためとても便利です。自分が滞在するエリアの近辺に、キャッシングを利用できるATMがあるかを渡航前にチェックしておくとよいでしょう。
なお、24時間営業のATMもありますが、すべてのATMが24時間営業ではありません。いざというときのために、利用できる時間帯もあわせて確認しておきましょう。
キャッシングを利用した際に、もしATMからカードが出てこないときは、落ち着いて対処しましょう。滞在先の言語で対応できる場合は、利用するATMに設置された電話で金融機関に相談し、難しい場合はカード会社に連絡をすることで相談できます。
旅行で遊ぶお金を借りることができる
海外旅行中は、航空券やホテルでお金を使い、現地で遊ぶお金に余裕がない場合もあるでしょう。そのようなときも、海外キャッシングサービスを利用すれば、欲しいものやサービスを利用できます。
大金を持ち歩かなくてもいい
慣れない海外で大金を持ち歩くことを不安に思う人もいるでしょう。海外キャッシングを利用できれば、滞在先で多くの現金を持ち歩かなくて済みます。
ショッピングにはクレジットカードを使い、必要に応じてキャッシングを利用して現金を引き出せば、大金を持ち歩くよりも不安が少ないでしょう。
海外キャッシングの利用方法
海外キャッシングを利用するには、事前に申し込む必要があります。すでに国内キャッシング枠が設定されている場合でも、申し込みが必要です。
申し込み後は、審査に通過することで、海外キャッシング枠を利用できます。
海外キャッシングを申し込んでから、審査を経て海外キャッシング枠が付帯されるまでには、時間がかかる場合もあります。そのため、海外渡航の計画段階で、キャッシングの申し込みをしておきましょう。海外旅行の直前や渡航後の申し込みでは、必要なタイミングでキャッシングが利用できない可能性があります。
さらに、次のポイントも利用前に押さえておきましょう。
- 利用可能枠(限度額)を確認しておく
- 暗証番号が求められることがある
利用可能枠を確認しておく
利用可能枠とは、クレジットカードで使える上限金額のことです。
さらに、クレジットカードの利用可能枠は、「ショッピング枠」と「キャッシング枠」に分かれており、お金を借りられるのは、キャッシング枠の範囲内です。キャッシング枠のなかでも、さらに海外キャッシングで利用できる利用可能枠が定められています。
所有しているクレジットカードにキャッシング利用可能枠が設定されているか、設定されている場合は必要金額をカバーできるかを、渡航前に確認しておくことが大切です。あらかじめ確認しておけば、滞在先で利用可能枠が足りず借り入れできないといった事態を防げるでしょう。
利用可能枠は、一般的にカード会員専用アプリやWEBサイトから確認できます。クレジットカード会社によって異なるため、所有しているクレジットカードの確認方法をWEBサイトなどで調べておきましょう。
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暗証番号が求められることがある
ATMを利用する際に、クレジットカードの4桁の暗証番号を求められることがあります。
暗証番号の確認や再設定をする場合は、郵送で行われ、書面が届くまでに1週間以上かかる場合がほとんどです。海外へ渡航する前に、暗証番号の確認や再設定をしておきましょう。
海外キャッシングの注意点
海外キャッシングを利用する際は、次の注意点を押さえておきましょう。
- キャッシングを利用するとショッピング利用可能枠が減る
- 人通りが少ない場所・夜間の利用は避ける
- 借りたお金の返済日を把握しておく
キャッシングを利用するとショッピング利用可能枠が減る
ショッピング枠は、クレジットカードを使って買い物やサービスの支払いができる上限金額のことです。
現地でキャッシングを利用することによってショッピング利用可能額が減り、お買い物ができなくなる可能性があることを念頭に置いておきましょう。
クレジットカードには、ショッピング枠とキャッシング枠の最大値である「総枠」も設定されています。
キャッシングを利用しても、利用できる総枠は変わらないため、キャッシングで利用した分だけショッピング利用可能額が減ります。
たとえば、総枠が80万円で設定されていた場合に、キャッシング枠を30万円分利用すると、ショッピング枠で使えるのは残りの50万円となります。
もしキャッシングを利用したことによりショッピング枠が不足した場合は、2枚目のクレジットカードがあれば対応できます。
利用可能枠は、カードごとに適用されるため、海外へ行くときは複数枚のクレジットカードを持っておくとよいでしょう。
ただし、利用可能枠を拡大するには、1枚目のクレジットカードのカード会社とは異なる会社(国際ブランド)で2枚目を発行する必要があります。同じカード会社(国際ブランド)の場合は、限度額は合算されるのではなく、高いほうの利用可能枠が適用されます。
人通りが少ない場所・夜間の利用は避ける
人通りが少ない場所や深夜の時間帯にATMを使うのはできるだけ避けましょう。
ATMでキャッシングを利用したあとに、クレジットカードや現金が盗まれる可能性もあるため、利用する時間やカードの取り扱いには十分に注意する必要があります。
もし海外でクレジットカードを盗まれたり紛失したりしたときは、カード会社に早急に連絡してカードの利用停止の手続きをしましょう。
借りたお金の返済日を把握しておく
海外キャッシングを利用した際の返済日は、あらかじめ確認しておきましょう。返済日を把握しておかないと、残高不足となり引き落としが実行されない場合があります。
たとえば、JCBカードの海外キャッシングの場合は、10日(金融機関休業日の場合は翌営業日)が返済日です。毎月15日までのご利用分と手数料を一括で、指定口座から自動振替(引き落とし)とします。
海外でのキャッシングと両替はどちらがいい?
海外のATMを利用したキャッシングのほうが、支払う手数料が両替よりも少なく済むことがあります。
海外キャッシングと両替は、手数料(利息)の計算方法が異なるためです。
海外キャッシングの利息は、次の図のように、換算日の為替レートで換算された利用金額に対して計算されます。ATMを利用した場合は利用日から2日~1週間後、銀行窓口を利用した場合は、手続きのタイミングにもよりますが3~4日後が換算日となります。
- 換算レートは、実際のカードご利用日や振替日のレートとは異なります。
一方で、両替は手数料が上乗せされた独自のレートに、両替金額分をかけた金額が実質手数料です。
実際にかかる手数料を計算してみると、海外キャッシングのほうが手数料として支払う金額が少なくなることがあります。
海外キャッシングを利用したときのシミュレーション
海外キャッシングを利用したときと両替を利用したときの手数料を、次の条件でシミュレーションしてみましょう。
[シミュレーション条件]
必要金額:1,000ドル
為替レート:1ドル=150円
両替所の独自レート:1ドル=153円
海外キャッシング金利:18.00%
海外キャッシング | 両替 | |
---|---|---|
手数料・利息 計算方法 |
換算日の為替レートの利用金額×金利×利用日数÷365日 | 両替レート×利用金額 |
現地ATM手数料 | 220円 | — |
手数料・利息額 | 1,775円 | 3,000円 |
合計金額 | 151,995円 | 153,000円 |
- 2024年2月15日に利用、3月明細でのお支払いの場合。
- あくまでも簡易シミュレーションの結果であり、実際の返済総額は条件によって異なります。
海外キャッシングでは、現地ATMや金融機関窓口で利用手数料がかかることを踏まえても、今回のシミュレーション例では、両替よりも海外キャッシングのほうが実質手数料は安いことがわかります。
ただし、利用日(換算日)によっては、両替手数料のほうが安くなる場合もあります。
繰上返済をすれば利息の負担を少なくできる
繰上返済とは、決められた返済日よりも前に返済をすることです。
海外キャッシングの支払方法は基本的に1回払いのため、海外キャッシングを利用した場合は、カード会社が指定した特定の日に返済を行います。
海外キャッシングの手数料は「利用の翌日から支払いまでの日数」と日割換算のため、設定された返済日よりも早く返済をすることで、利息の負担を軽減できます。
返済が完了するまで不安な人は、繰上返済の活用を検討するとよいでしょう。
カードローンの繰上返済を行うメリット|返済方法や注意点を解説
クレジットカードに海外キャッシング枠を設定する方法
海外キャッシング枠の設定方法は、クレジットカードの種類により異なりますが、カード会員専用アプリやWEBサイトから申し込みできます。会員専用WEBサービス「MyJCB」なら最短1分以内で審査が完了します(※)。
- 利用可能枠によっては会員専用WEBサービス「MyJCB」で増枠できない場合があります。
JCBカードの海外キャッシング枠の設定方法は、次の通りです。
- 会員専用WEBサービス「MyJCB」にログイン
- カードご利用状況→「ご利用可能枠の変更」へ(※)
- 海外キャッシング1回払いの増額希望欄にチェックを入れる
- 「次へ」ボタンを押し、確認事項欄の必要情報を入力する
- ダイレクトログインの場合は、「ご利用可能枠の変更」画面へ直接遷移します。
海外キャッシング枠の増額方法
JCBカードの場合は、前述の「クレジットカードに海外キャッシング枠を設定する方法」と同様の流れで増額の申し込みが可能です。
会員専用WEBサービス「MyJCB」の「ご利用可能枠の変更」画面内の「お申し込み上限枠」から「海外キャッシング1回払い」を選択し、次の画面で希望額を入力しましょう。
JCBカードを使った海外ATMのキャッシング方法
JCBカードで海外キャッシングを利用する際の海外ATMの利用イメージは、次の通りです。機種によっては言語の選択も可能です。
- JCBカードを入れる
- 暗証番号(4ケタ)を押し、最後に「ENTER/YES」キーを押す
- 「WITHDRAWAL」(または「CASH ADVANCE」)を指定
- 「CREDIT CARD」を指定
- 金額を指定し、最後に「ENTER/YES」キーを押す
- 現金を受け取る
- 操作を終了する場合は「CLEAR/NO」キー、引き続き現金を引き出す場合は「ENTER/YES」キーを押す
- JCBカードとご利用明細書を受け取る
現地の提携金融機関の窓口でも海外キャッシングが使える!
JCBカードでは、ATMだけではなく現地にある提携金融機関の窓口でもキャッシングを利用できます。
利用手順は次の通りです。
- JCBカードとパスポートを提示し、利用金額を伝える
- 売上票の金額を確認し、カード裏面と同じサインをする
- 金額を確認のうえ、JCBカード、パスポート、売上票のJCBカードご利用控を受け取る
利用金額は「I would like to use my JCB Card to get ○ dollars in cash」のように伝えるとよいでしょう。
海外キャッシングが使えるJCBカード
JCBカードは、申し込みをして審査に通過することで、海外キャッシングが利用できるようになります。
審査には1~2週間かかるため、海外へ渡航することが決まったら、早めに申し込んでおきましょう。
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国内でキャッシングを利用するならJCBのカードローン「FAITH」
海外キャッシングはクレジットカードを用いたサービスですが、国内でキャッシングをするなら、「FAITH」が便利です。「FAITH」は、JCBが提供するカードローンです。
年会費が無料のため、カードを持っているだけであれば手数料などのコストはかかりません。審査に一度通過すれば、冠婚葬祭や引っ越しなどの急な出費にも備えられるため、持っておくと便利な1枚です。海外では利用できませんが、旅行前に借りておけば、旅費に充てることも可能です。
また、「FAITH」の融資利率(金利)は、キャッシングリボ払いでも最大12.50%。
JCBクレジットカードのキャッシングサービスは国内でも利用できますが、「FAITH」なら、JCBクレジットカードのキャッシングリボ払い(金利15.00~18.00%)と比べても低金利で借り入れできます。
よくある質問
-
海外でATMを使ったキャッシングの方法を教えてください
-
海外でATMを使ったキャッシングのおおまかな利用方法は、次の通りです。
- クレジットカードを挿入し、暗証番号を入力する
- 取引方法(キャッシング)を選択し、利用金額を指定する
- 現金とカード、利用明細書を受け取る
ただし、滞在先の国や地域、ATMの種類などによって、操作方法が異なる場合もあります。
-
海外キャッシングにデメリットはありますか?
-
キャッシング(借り入れ)であるため、手数料がかかる点はデメリットといえるかもしれません。
ただし、海外で大金を持ち歩く不安を軽減できる便利なサービスのため、メリットも含めて検討しましょう。なお、海外キャッシングの手数料は、両替の実質手数料よりも安く済むこともあります。
詳しくは、「海外でのキャッシングと両替はどちらがいい?」をご確認ください。 -
海外で現地通貨を調達するときキャッシングと両替はどちらがよいですか?
-
海外キャッシングなら、大金を持ち歩くことなく、必要なタイミングで現地通貨を引き出せます。さらに、海外キャッシングの手数料のほうが、両替よりも安く済むこともあります。
メリットと手数料の両面で、海外へ渡航する際は、海外キャッシングを活用するとよいでしょう。
-
海外キャッシングするとどれくらい手数料がかかりますか?
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キャッシング利用分の利息と現地ATM(または提携金融機関窓口)の手数料がかかります。
かかる手数料は、利用日や利用金額、為替レートによっても異なります。
「海外キャッシングを利用したときのシミュレーション」では、1ドル=150円のときに1,000ドルをキャッシングした場合のシミュレーションを紹介しています。 -
海外でクレジットカードをなくしたときはどうすればいいですか?
-
ただちにクレジットカード会社に連絡し、カードの利用停止の手続きを行いましょう。第三者による不正利用を防止できます。
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- 【監修者】
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氏名:小宮崇之(こみや たかし)
資格:CFP(R)(公認ファイナンシャルプランナー)、TLC(生命保険協会認定FP)、損害保険プランナー、証券外務員一種、日商簿記検定2級大学卒業後、信用金庫に入社。お客様と接する中で、中立的な立場によるアドバイスの必要性を感じ、保険代理店として独立することを決意。保険会社の代理店営業職、保険会社の研修生を経て2020年9月に保険代理店を設立。保険代理店の実務経験を活かした執筆業や講師業にも積極的に取り組んでいる。
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海外キャッシングには利息とATM手数料がかかりますが、利息は借入期間を短くすれば、両替でかかる両替手数料よりも抑えることができる可能性があります。JCBカードの場合は、毎月の締め日が15日で、返済が翌月10日になります。当月1~15日までに利用ができれば両替よりもおトクになることが多いでしょう。海外旅行先のATM設置状況をよく確認し、安全でスマートな旅行を楽しんでください。