基礎知識
過払い金の請求方法は?仕組みやリスク・デメリットも紹介
公開日:2023年4月24日
過払い金とは、利息制限法で定められた上限の金利以上に支払った利息のことです。返還請求を行うことで払い過ぎた利息を取り戻せる可能性がありますが、条件次第ではリスクもあるので注意しましょう。
この記事でわかること
- 過払い金の意味
- 過払い金が発生する理由と仕組み
- 過払い金の請求方法と注意点
目次
過払い金とは?
過払い金とは、利息制限法で定められた上限の金利以上に支払った利息のことです。
クレジットカード会社や信販会社、消費者金融などの貸金業者が提供するカードローンやクレジットカードの「キャッシング」では、利息の上限が決められています。上限を超えて支払った利息は、請求することで取り戻せる可能性があります。
「利息」は、お金を借りるときに必要な対価のことで、借りたお金(元金)に対して決められた割合の利息を支払います。その割合のことを「金利」といい、パーセンテージ(%)で表します。たとえば、10万円を金利15.00%で借り入れた場合、返済時には10万円×15.00%=15,000円の利息を上乗せした金額を支払います(実際の返済額は条件によって異なります)。
貸金業者に対して債務者が過払い金の返還を求めることを、「過払い金返還請求」といいます。
過払い金が発生する理由と仕組み
金利の上限は法律によって定められているにも関わらず、なぜ過払い金が発生するのでしょうか。それを理解するポイントになるのが「グレーゾーン金利」です。
貸金業者がお金を貸し付ける際の上限金利を定めた法律には「出資法」と「利息制限法」があり、それぞれの上限金利は2010年6月17日まで、次のようになっていました。
- 出資法による上限金利:29.20%
- 利息制限法による上限金利:20.00%
出資法と利息制限法の上限金利の間にあたる金利を「グレーゾーン金利」といいます。本来はグレーゾーン金利による貸し付けは違法ですが、一定の要件を満たすと有効とみなされていたため、貸金業者は長年、グレーゾーン金利での貸し付けを行っていました。
改正後の貸金業法が完全施行された2010年6月18日以降、出資法の上限金利が利息制限法の上限金利である20.00%まで引き下げられることになりました。グレーゾーン金利での貸し付けは行政処分の対象となることから、実質的にグレーゾーン金利での貸し付けは消滅しています。
過払い金は、グレーゾーン金利の上限金利が適用されていたことが原因で発生したものです。
過払い金返還請求のメリット
過払い金返還請求には、次のようなメリットがあります。
払い過ぎた利息が戻る可能性がある
過払い金請求のメリットは、払い過ぎた利息が戻ってくる可能性があることです。戻ってきた利息の使い道は自由で、生活費として利用する他、借り入れ中のカードローンの返済にあてることもできます。
借入金の完済後ならブラックリストに載ることなく請求が可能
過払い金返還請求で気になるのが、「いわゆるブラックリストに載ってしまうのか」という点ですが、借入金の完済後なら、ブラックリストに載ることなく過払い金を請求できる可能性があります。
ブラックリストとは、借入金の返済の遅れや破産開始決定といった信用情報の事故情報のことで、実際にそのようなリストが存在するわけではありません。「ブラックリストに載る」とは、信用情報に何かしらの問題があることを意味します。
信用情報に過払い金返還請求を行った旨を記載する項目はなく、借入金の完済後であれば事故情報として登録されることもありません。
過払い金が発生する条件
改正後の貸金業法によって上限金利が20.00%に引き下げられたのは、2010年6月18日です。それ以前に貸金業者から借り入れをしていた場合は、グレーゾーン金利が適用され、過払い金が発生している可能性があります。
過払い金には時効がある
過払い金返還請求は、最後に借入金を返済した日から10年で時効を迎えます。10年以上経過すると過払い金の返還請求をできる権利は消滅し、払い過ぎた利息を取り戻せなくなるので注意が必要です。
改正民法により、2020年4月以降に発生した過払い金の返還請求は、「過払い金請求の権利が行使できることを知ってから5年」に変更されています。
過払い金返還請求のデメリットや注意点
過払い金の返還を求める「過払い金返還請求」には、次のようなデメリットや注意点があります。
請求しても満額返還されるとは限らない
返還請求を行っても、過払い金の全額が返還される保証はありません。返還額のシミュレーションを行えるWEBサイトもありますが、実際に返還される過払い金は交渉先の経営状態などによって変わります。
借入金の完済前に請求をすると信用情報に残る可能性がある
借入金の完済後であれば、過払い金返還請求を行った事実が信用情報に記録されることはありませんが、完済前の場合は条件次第で信用情報として残ってしまうかもしれません。
お金を借りている貸金業者に対して過払い金返還請求を行い、過払い金の額よりも借り入れているお金の額が上回った場合は、「債務整理を行った」とみなされることがあります。それにより、信用情報に記録される可能性があります。
債務整理を行ったことが信用情報に残ると、クレジットカードの新規発行や住宅ローンの契約などが難しくなることがあるので注意しましょう。
過払い金を請求する方法
過払い金の請求は、専門家に依頼する方法と、自分で請求する方法の2種類があります。
専門家に依頼する
過払い金の請求は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼が可能です。お住まいの地域の弁護士事務所などを検索して、過払い金の請求に詳しい専門家を探してみましょう。
自分で過払い金を請求することもできる
専門家に依頼せず、債務者自らが貸金業者に対して過払い金を請求することもできます。専門家へ依頼する費用を抑えられる点はメリットですが、専門知識が求められます。そのため、過払い金返還請求は専門家に依頼したほうがよいでしょう。専門家のほうが交渉もスムーズに進む可能性があります。
よくある質問
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過払い金とはなんですか?
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過払い金とは、利息制限法で定められた上限の金利以上に支払った利息のことです。
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過払い金を請求するとどうなりますか?
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払い過ぎた利息を取り戻せる可能性があります。
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過払い金を請求するリスクはありますか?
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借り入れをしている貸金業者に対して完済前に過払い金返還請求を行うと、債務整理を行ったとみなされることがあります。その事実が信用情報に記録され、クレジットカードの新規発行が難しくなったり、住宅ローンが組めなくなったりするリスクも考えられるので注意しましょう。
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過払い金があるかどうか調べる方法はありますか?
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2010年6月17日以前に借り入れを行っており、かつ完済後10年以内の場合は、過払い金が発生している可能性があります。WEB上で「過払い金のシミュレーション」を行う方法もありますが、詳しくは弁護士や司法書士の専門家に相談するとよいでしょう。
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- 【監修者】
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氏名:小宮崇之(こみや たかし)
資格:CFP(R)(公認ファイナンシャルプランナー)、TLC(生命保険協会認定FP)、損害保険プランナー、証券外務員一種、日商簿記検定2級大学卒業後、信用金庫に入社。お客様と接する中で、中立的な立場によるアドバイスの必要性を感じ、保険代理店として独立することを決意。保険会社の代理店営業職、保険会社の研修生を経て2020年9月に保険代理店を設立。保険代理店の実務経験を活かした執筆業や講師業にも積極的に取り組んでいる。
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